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妻はまめまめしく家のことを行う。
床を水拭きしたり、
掃除機で埃を吸ったり、
鉢植えに水をあげたり、
風呂釜を泡で清め、米を研ぎ、
おかずを作ったりする。
会社から帰り、重い闇に沈んだ道路から我が家を眺めると、暖かなオレンジ色の光が窓から溢れているのが見える。
その灯りを見る度、私は涙ぐむ。
あそこには、自分の帰りを待っていてくれる人がいる。
その体が痺れるような甘い幸福に震えながらしばらくその四つ角でその灯りを見つめ、
私は再び歩き出すのだった。
確かに妻は家事が得意とは言えなかった。
雑巾はきちんと絞らずびしょびしょのまま拭くから、床には水溜まりができていたし、
部屋の隅々には微細な埃が寄り集まって玉になりふわふわ浮いていたりする。
料理は味は総じて薄すぎだし、生煮えも多かった。
でも、魚や肉を捌くのは別で、指の先から刃物が生えているかのように巧みだった。
肉、魚料理は、焼き加減、味付け共に絶妙だった。
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