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それと、植物を育てるのも上手かった。
先妻のさなこが死んでから手間をかける余裕が私の精神になかった。
庭は枯れ、くたばり、
腐葉土の王国になっている一角があるかと思えば、
無軌道に伸び、栄え、荒れている箇所もあった。
妻はそれらを丁寧により分け土をほぐし、肥料を与えて剪定や間引きをして、
瞬く間に見事な野趣溢れる庭へと作り変えた。
休みの午後、私は妻が鼻歌混じりでそれらの作業を行うのを見るのが好きだった。
柔らかな愛情をもって、自然に溶け込むように、その作業を一つひとつ丁寧に行う。
その横顔を、私は愛していた。
妻と公園を散歩する。ゆっくりゆっくりと歩く。
木々の落とす影や囁きが、のどかな時間を引き延ばしてゆく。
手をつなぎ、
木の幹に触れながら、
頬を寄せ合い、
明るい広場を見る
そこは、徘徊していた頃の夜の面影など微塵もない
幸せな人や退屈な人がたむろする、大きな噴水や、揺らめく緑が涼やかな正しい公園だ。
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