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アダレンの言うことも一理あるので、国王はうむ…、とやや肩を落としながらも頷いた。
その時、客人たちが騒ぎ始めた。
ある者は感嘆の言葉を漏らし、淑女たちは嘆きの声をあげる。
王族たちもそちらへ顔を向けた。
ホールの真ん中、煌めく巨大なシャンデリアが照らす最も明るい場所で、一組の男女が踊っている。
優雅に、シャンデリアの輝きよりも輝かしく、まるで生まれたときから一緒だったと言わんばかりの一体感で。
目を惹くのは無理もない。
しかし、アダレンは顔を真っ赤にした。
見事な踊りを披露するカップルの、男の方は、第三王子を探しているはずのナガン伯爵その者であったからだ!
「探していないではありませんか!!」
「おかしいな…」
温厚な第一王子も眉をしかめた。
「もういいでしょう!さぁ父上、お立ちに――」
最後まで言う前に、アダレンの口が止まる。
ダンスを中断した例の男女がこちらにやってきているからだ。
貴族のたしなみも忘れたか!とアダレンは心の中でナガン伯爵をなじった。
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