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「…ごめん」
我に返り美夏から離れる。
俺は美夏を抱き締めたまま泣いた。
泣いたら貴之の死を受け入れたみたいで嫌だったから…泣かないつもりだったのに。
美夏の前ではこんなにも素直に感情を出せる自分に驚いたのと…
都合の良さに自分に腹がたった。
「英士…こないだは…本当にごめんなさい。チームの人達に迷惑」
「傷…」
「え?」
「頬の傷…残らなくて良かった」
「…いっそのこと残って欲しかったな」
「何言って」
「だって…そしたら優しい英士の事だもん。ずっと側にいてくれた…」
「美夏…」
あんなに酷く傷つけたのに
君はまだ俺を必要としてくれてる…?
「ごめん。ふられたのに…嫌な子だね私」
「美夏…俺…」
ピリリリッピリリリッピリリリッ
「…ちょっとごめん」
美夏から少し離れて座り、電話に出る。
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