23人が本棚に入れています
本棚に追加
次に目覚めると自分がまだ生きているのが分かった。
小さな部屋に寝かされている、どうやら誰かに助けられたらしい。
「うっ!うぅ」
動こうとすると全身に激痛が走る。
「目覚めたか、ああ無理するな…疲労に精神的な傷が重なってまだ動けないはずだ」
声の主らしき人が意外と近くで壁に寄りかかっていた。
「あなたは?」
素朴であるがまず確認しなければならない必須事項だ。
「ああ失礼、私はジン、流れ者のハンターだ」
ジンはまるでこちらの事を知りたそうな笑顔をする。
「あっすみません、私はアーリです。あの助けてくれてありがとう」
まず先に言わなければならない事だと思い付け加えて答えた。
「アーリか、まあ気にしないでくれたまたま通りかかったところで君を拾ったんだ」
しかしアーリは首をゆっくりと左右に降って。
「でも、あなたは命の恩人です重ねてお礼をいたします、ありがとう」
ジンは少し照れくさそうに髪を撫でるとアーリを静かに起きあがらせてスープを差し出す。
「ありがとう(優しい手、暖かい…それに)」
ポロポロと涙が出て来た。今自分が生きていると実感した途端に死んで行った家族の事を考えたのだ。
「わ、私自分しか助けられなくて…何も出来なくてただ守られるだけでそれで…みんな…みんな」
最初のコメントを投稿しよう!