プロローグ

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   窓から見える俯瞰はいつもと変わらない世界が広がっている。  ああ、のどかだ。  いつもと変わらない世界。  いつもと変わらない自分。  そんな中でこの状況は異常だった。この高校の生徒会長、宝条院聖羅(ほうじょういんせいら)は俺を無理矢理生徒会に引き入れた。  普通、選挙等で決めるはずなのだが会長は違ったのだ。  会長の母親がPTAの会長、父親が国会議員だ。校長や他の先生は頭が上がらない。  そのため事実上学校を牛耳っている訳だ。  その自己中会長は突然選挙をせず生徒会は自分で作ると言い出しやがったのだ。その犠牲者が俺だった。  生徒会室でへばる俺が惨めだ。そんな負の感情を噛み締めていると部屋のドアがゆっくりと開く。 「お前達、喜べ! 新しい仲間だ!」  現れたのは会長だった。どうやらまた犠牲者が増えたか。  さて、一体どんな奴を連れて来たんだ?  その光景に息を飲む。  現れたのは美しくて可愛い女の子だった。美しい、ただそう思う自分がここにいる。  彼女と目が合う。  澄んだ瞳に吸い込まれそうに釘付けになる。  そして彼女は自己紹介を口にする。 「あの……」  これが彼女との最初の出会い。これから始まるドタバタの日常を知らない俺が居た。     
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