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カンと缶が飛んでくる。
いや、寒いギャグじゃなくて。
投げた缶が戻ってきた。
HA?
私は確かに目の前の変哲もないゴミ箱に、空き缶を投げ入れたはずだ。
「縁にでも当たったのかな?」
コンクリートに落ちた缶を拾って、また投げる。
また同じように半円を描いて飛んでいくソレは確かにゴミ箱に入り、私はそれを見届ける。
ヒュッ
「ふごッッ!?」
乙女がふごっとか、そんなのは置いといて。
空き缶は私の顔面にキッスをすべく飛んできて、見事それを成し遂げやがった。
簡単に言えばまたコッチへ飛んできた。
んで、それは顔面直撃コースだったわけで、
「ッやったな…コノヤロウ!!」
右手に持ったアルミを握り潰しズンズン例のゴミ箱に近づく。
大方、悪ガキがやった事だろう。
「たくっ近頃のゆとりは…って、アレ?」
のぞき込んだゴミ箱には、そこに縮まり込んでいると予想した子供が見あたらず、それどころか空き缶すら入っていない綺麗なゴミ箱の底があった。
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