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跨ったものから、いそいそ逃れれば、少しだけ今居る場所が分かった。
やっぱりここは、どこかの屋内らしい。
やけに埃っぽいな…
なにコレ、ランプってやつ?
床に転がったそれは、ぼんやりとオレンジ色に部屋を照らす。
夜なんかな。
「おい、お前」
キョロキョロとあまり良くない視力で部屋を見渡していると、忘れていた人物がズイと離れた距離を縮める様に私に近づく。
近づく
…近づ
「近けェエエエエエ!てか何しとるか!?」
一歩奴が近づく度に、無意識に一歩後退する私の背には、ヒヤリとした石の壁の質感。
奴は思った以上に背が高く、けして低い方じゃない私が首を上げねばならん程だ。
そしてガシッて音が似合いそうな位に、両手で頭を左右から固定された。
クレーンゲームの商品じゃ無いんだから!
首もげる!首もげる!
「こう暗いと良く見えないんだよ、ちょッじっとしてろ!」
「わ私、そんなに美人では無いっす」
「期待してねぇ」
「酷ッ!」
声、背からするに相手は男なんだろう。
とりあえずこの人には触れるし、幽霊ってのは違うみたいだ。
ほ。
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