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コツ…コツ……
土方さん……
総司……
稔麿………
…………決して出会ってはいけなかったのかもしれない-----……
だけど……
『さぁ…来なさい、マリア』
『はい』
お祖父さまに手を取られ、私は黒いドレスの裾を軽く握りながら、ゆっくりと歩き出した
『マリア様…』
『マリア様だ』
私の為に用意された道
それを囲むように幾千もの吸血鬼達が、祝福の声を上げてくれる
私はお祖父さまと共に中央へ立つと、ふわりと浮き上がり、周りよりも高い段差の上に着地した
ゆっくりと見渡せば、黒いローブに身を包んだ者達が、私をじっと見つめていた
『本日は、我が孫の王位継承式にお出でくださった事、感謝申上げます』
お祖父さまの深く澄んだ声が響く
……私は、あの時代に行った事で………
貴方達と出会った事で、生きる意味を知る事ができた
忘れない……決して--……
貴方達と過ごした事…全てを………
決して、忘れない----……
『では、マリア…』
お祖父さまに促され、私は一歩前に進み出た
『……我が名は、マリアーヌ・エル・フォン・クライスト。…第三皇位継承者として…ここに、宣言する。……私が、絶対に君達を死なせないと。……必ず、守り抜くと-----……』
マリアの言葉に、集まった者達は皆食い入るように話に聞き入った
『そしてどうか認めて欲しい……最後の皇位継承者として……本日を持って…私が、…次代の"長"となる事を---…』
マリアが言い終わると同時に、皆は胸に手を当て、頭を下げた
それは、心からの祝福と忠誠---……
『………ありがとう……』
マリアがほほ笑むと同時に、吸血鬼の子供達が駆け寄った
『おめでとうございます!マリア様ぁ!』
『ありがとう』
『マリア様!私共は誠心誠意、マリア様にお仕え申上げます!!』
『…………ありがとう…』
マリアは嬉しそうにほほ笑むと、子供達の頭を優しく撫でた
『なんと、お優しい…』
『必ずや、素晴らしき長になられる事でしょう…』
皆、子供と戯れるマリアに、尊敬と、暖かな眼を向けた
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