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『『………………』』
((信じられない……))
蒼と碧はそんな稔麿の行動に唯々眼を丸くさせた
主様は普段……、というか…マリア様以外には、基本的に稔麿様は"冷徹"だ…
他人に"甘える"所を見た事など一度もない---…
(女に対しても、女から稔麿様に絡む事はあっても、ご自分からなど有り得ない…)
『……………………』
(この人……一体………)
碧は一人考えを巡らせた
『稔麿……』
『ん……?……』
稔麿は後ろからマリアを抱き締めた状態のまま、マリアの首に顔をうめるような格好で答えた
『…………うぅん………何でもないの………』
マリアは瞳を揺らしながら答えると、顔の前に回された稔麿の腕に頬を乗せた
(……………マリア……?…)
(…………どうして……)
どうして私は"この時代"に飛ばされたの……?
"未来"から来た私は、決して"過去"である貴方とは出会うはずがなかったのに---…
否、
・・・・・・・・・・・
出会ってはいけなかったのに-------………
私が話せば、【未来】が変わってしまうかもしれない---………
(でも……………)
『マリア……?…』
稔麿は小刻みに震えるマリアに、心配そうな眼を向けた
『……か……ないで………』
『……え………?…』
次の瞬間
ぎゅっ・・・・
マリアは身体を反転させると、稔麿の首に腕を回し抱き付いた
『置いて…行かないで……』
か細い声だった…
だが、稔麿にはしっかりと聞こえていた---……
『大丈夫…何処へも行かない----………』
稔麿もまたマリアの腰に手を回し、抱き寄せた
"置いて行かないで"
この言葉の"真意"を知っていたのは………
今はまだ…、"マリア"だけだったのだろう----……
..........
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