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『・・ん・・・・?・・・・水・・・?』
全てを包み込む暗闇の中、町を歩いていた男は、ふと頬に落ちた水に、空を見上げた
雲一つない夜空に、男は不思議そうに小首を傾げる
だが、
『ッ・・・!?・・・・・・・・・・』
男は自身の歩いていた街路の上に、一つの影を見つけた
影はまっすぐに男を見つめる
『・・・・・貴方の・・・言う通りだった・・・・・』
漏らされた声で、少女である事がわかった彼は、屋根に足を掛け、彼女の元へ歩いた
『……僕は…これ以上君が傷付く所なんて…見たくないよ…』
少女の頬を撫でながら男は言う
『………私は…どうしたらいいの……?』
少女の言葉と同時に、男は少女の頭に手を添え、引き寄せた…
『僕の所においで……゛あいつら゛は……君を裏切ったんだから……』
僕の言葉に、身体を震わせる君……
『僕が…君を守るから……』
僕の言葉に、少しずつ顔を上げていく…
『大丈夫……【僕】だけは君を裏切らない---…』
『………ッふ……』
彼女の瞳から流れる涙が、僕の着流しを濡らして行く…
『………【約束】しただろう……?…僕を信じて……』
抱き締める腕に彼女は手を添えた
ゆっくりと彼女を見つめれば、真紅の瞳が僕を捕らえて放さない…
『【約束】…絶対に守ってくれる…?』
少女の言葉に、深く頷いた
そして、僕はゆっくりと顔を上げた
君はそんな僕の首筋に顔を埋める…
【僕だけは……君を裏切らない----…】
少女の口元には、月の光に反射して妖艶な光を放つ【牙】があった……
そして、彼女はゆっくりと……ゆっくりと……、愛しき者の首筋に、己の【痕】をつけた………
『契約を……【主】様----…』
・・・
もう…あそこへは戻らない--------・・・・・・・・
何も知らなかった頃には
もう…戻らない---………
......
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