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真珠が唖然とした表情をしている。
彼女の右手に握られていた、喫茶店の帰りに行った大型スーパーポン吉のレジ袋が彼女の手から滑り落ちた。
「え……。え……。ええ?ええ!!」
帰宅後すぐ付けたテレビには、三島すみれ引退という、ビッグニュースが流れていた。
ーーどうやら、家庭の事情とやらで引退を決意したらしいが、本当のところは本人にしか分からない。
本当に家庭の事情なのか、それとも……。
しかし、すみれの大ファンだった真珠には、そのニュースがとてもショックだったらしく、今は何故かキャベツを壊れたように笑いながら千切りにしていた。
「ふっ。……ふふっ。ふ……ふふふっ」
龍太郎と瑠璃は、そんな真珠の様子に、少し背中に冷たい汗をかいた。
「し、真珠さん!止めて、キャベツがか、可哀想だよ」
口が震えて、上手く話せず、声は裏がえり、額は脂汗にまみれながらも果敢に真珠に話しかけた。
そんな龍太郎の勇気が幸をそうしたのか、真珠は手を止めて龍太郎を見る。
そして、包丁を顔の位置まで上げると。
「ふふっ!」
瑠璃は気絶しました。
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