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龍太郎は父と向かい合わせに座った。
龍太郎は、父が好きなブラックのコーヒーを出し、自分も微量のミルクを入れたコーヒーを出した。
「はい……」
「うむ、ありがとう」
「………………」
不意に、長い沈黙が訪れた。
沈黙の中、龍太郎は父の口から出てくるであろう言葉を思案した。
一体何の用なのだろうか。
あのおちゃらけている父が、こんなにも深刻で、そしてつらそうな顔をしている。
「実は……剛が……ジャンボおじさんが先日亡くなった」
ジャンボおじさんというのは、身長百九十を超える長身で、見た目がジャンボだったからジャンボおじさんだ。
ジャンボおじさんこと、島貫剛は父と母の共通の親友で、母が死んでからは、母の葬式以来一度も会っていない。
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