小説を読むと、学力が少し上がる……らしい

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「おっは~!!」 教室に、郁馬の馬鹿でかい声が響いた。 入り口近くにいた人は、顔をしかめて耳を押さえている。 「おっ!龍太郎おっは~!!って、どうしたんだよ!?」 龍太郎を見つけて、龍太郎の方に向かって来た郁馬も香奈と同じく、うなだれている龍太郎を見て驚いた。 「英語の小テストの存在を忘れてたんだって」 香奈は、親切に郁馬に教えてあげた。 それを聞いた郁馬は、 「ああ~。うう~」 突然しゃがみこみ、頭を抱えて唸りだした。 近くに座れる席が無かったため、郁馬は床でうなだれているが、それが余計に惨めさを醸し出している。 「忘れてたんだ」 「忘れてたようですね」 香奈は呆れ顔、朋美は苦笑いで言った。 ガラガラッ 「はい、みんなおはよう!!速く席に着くように!」 ざわざわと騒がしかった教室に、美和先生が入って来た。 「んっ、龍太郎と郁馬はどうしたんだ?」 うなだれている二人を見て、美和先生は不思議そうに言った。 「英語が分からないみたいです」 「そうか。よく分からんが……まあ、いいだろう」 うなだれる二人をほっといて、SHRを始めた。
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