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「じゃあ、一番近い喫茶店にでも行くか。郁馬は部活あるの?」
龍太郎が聞くと、とても悔しそうな表情をした。
「今日は部活のミーティングがあるんだわ。悪いな」
「べつにいいんじゃない?真珠さんと瑠璃ちゃんがいるなら」
香奈は、郁馬をからかっているようだ。
女好きの郁馬が、美少女の部類に入る二人と一緒に行けないのは、絶対に悔しがるからだ。
案の定、意地の悪い顔をしている香奈を、とても悔しそうに睨んでいた。
昔からこのようなやり取りは、変わらない。
香奈が郁馬をからかい、それを龍太郎が笑って見ている。
母親の死から立ち直った龍太郎は、このいつも通りのやり取りに安心したのを覚えている。
「龍太郎!どうしたの?速く行こうよ」
いつの間にか二人は荷物をまとめて教室を出ようとしていた。
龍太郎も、慌てて荷物をまとめるとバックを左手に持ち、急いで二人を追いかけた。
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