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「大樹!やめなさい!」
よく通る声が体を支配する。
ぴたっと止まった拳をそのままに後ろに振り返ると美砂が顔を赤くして立っていた。
「美……砂」
顔を真っ赤にして泣きそうな美砂が僕を抱きしめる。
「……っ見るな!」
がたんっと汚い、本当に汚い机を隠すと殴られていた男が笑った。
「そうか。美砂ちゃんのかと思ったのか……じゃあこれでおあいこってことでっ」
頬に鈍い痛みが広がる。
「大樹、あれ私の机じゃないわ。………でも、ありがとう」
殴られた時も離れなかった美砂が僕にほお擦りする。
「え、嘘!?俺……っ」
よく見渡せば美砂の机はそれの前にちゃんとあった。
綺麗なまま。
「………じゃあこれ誰の……?」
「このクラスの机じゃないわ。一つ多くなってる」
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