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「大樹、ほら頑張ってよ!」
これ以上?
ため息を撒き散らしながら背負い直す。
「もー。動くなよ。落とすぞ」
俺の背中で何の苦労もなく前に進む女の子にちょっとうんざりした。
ことの発端はこの急な山道。
阿呆なこいつがミュールなんて履いていたせいで小石に躓いて足をくじいてしまったんだ。
「もうちょっとで私たちの家なんだからほら、頑張って」
そう。
僕らはこの山道のてっぺんにある古くて狭い山小屋に住んでいる。
たった二人で。
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