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僕と背中の女の子は双子。
正真正銘誰よりも血が濃く繋がっている。
この地球上の誰よりも近い存在。
駆け落ちした僕等の両親には親戚が居ないも同然で僕たちは全く知らない。
そんな両親は若くして死別した。
母の死が愛し合った二人を切り裂いたのだ。
その死因は僕等にある。
もともと体が弱かったらしい彼女に二人も産み落とす余力はもう無かった。
だから僕等は母の遺体から切り出された。
そのあまりに衝撃的な事実を知ったのは中学の時。
父の日記を盗み見たことで明らかになった。
自分の誕生日と母の命日が同じ理由は何となく分かっていたつもりだけど
母が僕等を一目も見ること無く逝ってしまったことや
立ち会い出産だったせいで緊急に母の腹を切り開くそれを急ぎすぎた医師が、父がいるにも関わらず行ったことは
あまりにショックだった。
父の震える文字と茶色い染みにただ呆然とした。
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