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やたら無心に思いふけっていたらいつの間にか小屋みたいな家に着いていた。
そこで重大なことに気が付いた。
救急箱がこの家には無かったんだ。
少しでもお金を手にしようと前の貸家の家財道具を一式売り払ったことを今始めて後悔した。
「み、美砂。大変申し上げにくいけど……」
「救急箱なら赤いマジックの段ボールの中よ」
「……………え?」
「大樹はよく怪我をするからとっといたのよ。売ったお金より買い戻すお金の方が高いに決まっているんだもの」
やっぱり僕の片割れなだけあって美砂は賢いな。
湿布を熱を持った足に張り付けているともっと重大なことに気が付いた。
「あ………」
「なに?」
「明日入学式だよ」
「あら、そうね。頼んだわ」
え………?
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