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「美砂、太ったろ」
田舎の高校だからなのか一学科一クラスだったせいで僕たちは当然前後ろになり、美砂を乗せてこぎつづけた足の疲労を労りながら後ろを振り返って呟いた。
「大樹の体力が落ちたのよ。馬鹿」
―――――ふふ。
消え入りそうな笑い声が耳に届く。
気の弱そうな女の子。
今の、どこから聞こえた……?
無性に気になって辺りを見渡しても素行の悪そうな女子しか見当たらなかった。
……もしこの中の誰かの声だったらギャップありすぎ。
それから入学式の簡単な説明と、殆ど中学からの繰り上がりらしいクラスへ僕らの紹介を済ませてからあっという間に時間が過ぎた。
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