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「文月、頼みたい仕事の内容は理解しているね?」
「騎士団長ネリー・ガーランドの身辺調査、ですね?」
「うん、出来る限り背景が見えれば、説得出来るかもしれないから。」
出来る限りは穏便に済ませる。少なくとも、それが僕のやり方なのだ。甘いかもしれないけどね。
「かしこまりました。調査が終わり次第、報告書にまとめておきます。」
「出来るだけ急いで。そろそろ相手も焦れて来ている可能性があるから。」
「かしこまりました。」
そう言い残して、文月は部屋を出て行った。
しばらくは報告待ちになるが、文月だから大丈夫だろう。
「ねぇ彼方ちゃん。」
突然、ミアが真面目な口調になった。
「もしかしたら、彼方ちゃんが考えているような裏なんてないかもしれない。ネリーは純粋に彼方ちゃんに対して反乱を起こしているかもしれない。だとしたら、彼方ちゃんはどうするの?」
なるほど、どんな結果が来てもいいように、事前に僕の心構えを聞いておくのか。
シアのように何処までも盲目的に守るのとは違う、時には辛い決断を迫るミアも、やはり優しいのだ。
だからこそ、その気持ちに応える。
「その時は、僕がネリーを殺すよ。国を治める、王として。」
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