プロローグ

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許婚という言葉が、この世にはある。  それは、大体がお互いの親同士が勝手に決めてたりする。  正直、ウザイ。  俺――神上武流(カミジョウタケル)――の実家は、江戸の時代から栄える、ちょっとした旧家だ。まぁ、知っている人間は割と少ないが、『ある世界』では知らないヤツはいない。  まぁ、俺にゃあ全く関係ないけどね。  ……とにかく、俺にはなぜか許婚ってのがいるらしい。  なんでも、神上家が出来た時から決まっている掟だとかなんとか……。  物心付いた時から、さんざん聞かされてきた。  事あるごとに親父に呼び出され、30畳ほどある、だだっ広い部屋のど真ん中で正座させられ、一時間ほど延々と語られた。  正座していた足が、かなり痛かった。これは幼児虐待じゃなかろうか?  ちなみに、神上家の一族は、『ある世界』では『青の一族』だとか『炎の一族』だとか呼ばれている。というのも、ちょっと特殊な職業を生業にしているからなのだが、まぁそれは後ほど。
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