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私の瞳からは透明な雫溢れ、頬に2、3度伝う。
それはもう
何十年も昔の事だけれど…。
「─…まだ……待っていてくれているのか…」
夏の昼下がり。
風鈴が風に靡いて鳴いている。
どうしようもない時はいつも助けてくれる、私の最愛の女性──。
「…なぁ……」
うっすらと覚えている彼女の笑顔…。
チリ──ン……
靡いて鳴る風鈴の音色。
「…あの手を握れるのは、まだ先になりそうだ……」
後もう少し…彼女の元には逝けない──…。
「若菜───…」
─END─
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