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「ルク。その携帯の依頼内容ちゃんとメモしておいてね」
「わかった……」
やる気はとてもじゃないが出ないが一応携帯の画面を見ながらメモを用意する……。
……携帯?
そうだ、あの時浩也に僕の携帯の番号を教えておいたんだ。
急いでポケットから携帯を取り出し画面を開く。だが着信履歴には何も表示されていなかった。
そういえば浩也は番号を知っていても電話をかけられるのか。携帯を持っているとは考えにくいし、必死に頭の中の地図をひっくり返してみても公衆電話を見た記憶はない。
こんなことになるならやっぱりあの時浩也を連れてくるんだった。
いやダメだ。浩也がここにいたらアスカがあのメールを見た瞬間に額を撃ち抜いている。
「ルク疲れてるなら早く寝なよ。さっさと仕事終わらせてさ」
気遣っているのに仕事を代わりにやるつもりはなさそうだ。だがそんなことに腹を立てている場合ではない。
それに、僕達に依頼してきたということはまだ誰かが浩也を探している訳ではないということだ。
まだ時間はある。
そう考え直し、事務的に、依頼内容を携帯から紙へ書き写した。
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