逃亡者

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 30分程の山道を抜けて、ようやく街までたどり着いた。  決して近いわけではないが、暗黒街の物資は非常に乏しいので僕はよくここまで食料などの調達に来る。  ひとり、暗黒街まで物資を供給する商人がいることはいるのだが、そいつは虚人達の足元をみてるのだろう、ぼったくりな値段をふっかけてくる。  もちろんほとんどの虚人はろくに財産など持っていないので、ほんの少数の、まともに飯を食える者の残飯や生ゴミを漁って食を繋いでいる。  それに比べたらちゃんとした三食をとれる僕やアスカは恵まれたほうだろう。  それでも裕福な生活とは言えるわけがなく、こうして買物カゴに入れているのは割引のシールが貼ってあるものだけだ。当然だが、暗黒街までここのスーパーの広告は届かないので特売を買えるかは運が必要だが。  今週分の野菜や肉、魚、パンなどを数点。それにアスカに頼まれていたシュークリームをカゴに入れレジへ並んだ。  客の多くは主婦なのにひとりだけ高校生(学校には通ってないがそれぐらいに見られてるだろう)がスーパーで買物しているのは珍しいのだろう。珍しいものを見るような目で見られた。
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