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そんな優等生が眼前に発見したものは、
「…あれ?」
朝は滅多に出くわすことの無い姿だった。
「明?」
前を歩いていた人間に小走りで追いつき、声をかける。
振り返ったのはやっぱり明だった。
「あ、楓。おはよう。」
ニコリと小さく笑って挨拶する明の笑顔に、一瞬ウッと目がくらむ。
楓にとっては真夏の直射日光よりも眩しいものだった。
「おはよう、朝会うなんて珍しいな。今日はバスで行かないのか?」
心の中で、出くわした小さな幸せを噛み締めつつ尋ねる楓。
すると明は、その問いが突き刺さったような苦い顔をした。
「う、うん。ちょっとね。」
苦笑い。
何かに動揺しているが、それを隠してごまかそうとしている笑顔。
…が、顔と態度に出過ぎているのですぐわかる。
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