その②

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そこは… 地獄だった 正確に言うと 地獄みたいだった。 いつか誰かに聞かされた 閻魔がいるという地獄 まさにそこは 聞かされていた地獄だった。 辺りは燃え 壊れ 聞こえてくるのは うめき声と燃える音のみ ふと見ると自分も 黒ずんだ赤色をしている 動けないし 動く気力もない 辺りの少なくなった 酸素を精一杯吸い込むと 仰向けに倒れた ただ空が朱い 見える景色が小さくなる 今はただ 空を見てる 見える景色が小さくなっても 空を見てる もうそれしか出来ないのだから…… ……… 空が少し光る その温かな光りを見て 『あぁ…迎えが来たのかな?』 そう思わずにはいられないほど 温かな光りだった 聞こえるはずの無い声が聞こえる 『まだそこにいたいか?』 『死を目前にしてまだそこにいたいのか?』 思う。 このままいても親族に迷惑をかけるだけだ。 彼は想った 生きたい!と後悔する心と格闘しながら… 『要らない。  ここにはもう俺のいれるところではない。 邪魔に思われるくらいなら今のうちにいなくなりたい』 そう想う 誰かに聞かれた質問も 自分の生きたいと想う願望なのだと 今、想う本当の気持ちを告げたそう思うと目を閉じ 自分の生と別れを告げた…
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