第三章

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久々に会った時、弘人は変わっていた。 なんか雰囲気が怖くて痩せて疲れているようだった。 別れ話になる。 なんでなのかわからない。いつもの彼じゃない。 付き合う前の孤独な目をしていた。 俺のことはほっとけが俺とは関わるなって聞こえた。ふてくされた子供みたいに。 あたしは放っておけるわけがない。弘人にはあたしがいるよって伝えた。 なんでおまえはそうなんだよ!ってやけになってる弘人を見て、何かあったんだとわかった。 『とにかく俺はこれから付き合ってけないから』 『わけわかんない』 あたしの答えは出さないまま車を降りる。 それから、何日も家で散々考えたあと、なんかが抜けて、また仕事にいく。また遊びに行く。 知らない弘人の後輩軍団が飲みにきた。 『弘人さんの女と口きけないよな。弘人さんとだって怖くて口きけないっすよ』 『‥…弘人もやさしいとこあんだよ?』 ニコリとかわす。 いつものことだった。 盛り上がる中、無言のまま、タバコを吸って酒を作る。 酒を飲み過ぎていたのか、具合が悪くなる。 ふらふらと、外の空気が吸いたくて店を出ると、後輩の中の洋甫が大丈夫!?と、自分の着ていた上着をかけてくれた。 ………。 あたしはこうゆうのは好きじゃない。弘人以外にかわいらしさやさみしい顔なんか微塵も見せない。 かわいらしい女ではないから、こんな対応にかたくなに拒否する。 『いらない』 きっと、こんな時に寂しさを感じるんだ。 弘人にあいたい。
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