200人が本棚に入れています
本棚に追加
久々に会った時、弘人は変わっていた。
なんか雰囲気が怖くて痩せて疲れているようだった。
別れ話になる。
なんでなのかわからない。いつもの彼じゃない。
付き合う前の孤独な目をしていた。
俺のことはほっとけが俺とは関わるなって聞こえた。ふてくされた子供みたいに。
あたしは放っておけるわけがない。弘人にはあたしがいるよって伝えた。
なんでおまえはそうなんだよ!ってやけになってる弘人を見て、何かあったんだとわかった。
『とにかく俺はこれから付き合ってけないから』
『わけわかんない』
あたしの答えは出さないまま車を降りる。
それから、何日も家で散々考えたあと、なんかが抜けて、また仕事にいく。また遊びに行く。
知らない弘人の後輩軍団が飲みにきた。
『弘人さんの女と口きけないよな。弘人さんとだって怖くて口きけないっすよ』
『‥…弘人もやさしいとこあんだよ?』
ニコリとかわす。
いつものことだった。
盛り上がる中、無言のまま、タバコを吸って酒を作る。
酒を飲み過ぎていたのか、具合が悪くなる。
ふらふらと、外の空気が吸いたくて店を出ると、後輩の中の洋甫が大丈夫!?と、自分の着ていた上着をかけてくれた。
………。
あたしはこうゆうのは好きじゃない。弘人以外にかわいらしさやさみしい顔なんか微塵も見せない。
かわいらしい女ではないから、こんな対応にかたくなに拒否する。
『いらない』
きっと、こんな時に寂しさを感じるんだ。
弘人にあいたい。
最初のコメントを投稿しよう!