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タクシーに乗って弘人の家に行く。だけど弘人がいない。 車もない。
こんな時間になんでいないの。
仕事は?
弘人の母親に聞く。
『最近、帰りが朝で昼前に出ていくの』
昼前?
ひとり弘人の部屋で待つ。
弘人の部屋ってこんな匂いだったっけ?
具合が悪い。
テーブルに気になる組の名刺。
陵太の名前。陵太やくざになったの?何? ナンナノ?
頭が混乱する。
陵太とみきはもう別れていて、そのあと付き合った男とみきはデキ婚してしあわせになっていた。
もうなんでもいいから会いたい。早く話がしたい。
窓を開け、弘人のマフラーの音をさがす。
帰ってきたのはもう朝だった。
弘人はなんでいるのって顔でビックリしてた。
またぶっきらぼうに何したんだよ?って名刺をどかし、言う。
話をしたいけど、聞きたいこともあるけど、言葉が出てこない。何かが変わってきてる。怖くてしがみついた。
弘人は無言のまま優しく頭を撫でてくれる。
この感触は前と変わらない。
『男に言いたいことも言えないようじゃ、付き合ってるっていえねーよ!』
と豪語していたあたしはどこにいったのか?
弘人にはまっていた。
はまっているというより、この人をひとりにしないって思った。
今、弘人に何があったのかわからない。独りにしたくない。
甘えられない弘人は自分を強くするほか、淋しさを解消できない。
昔のあたしのように。
弘人のそばを離れない。
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