200人が本棚に入れています
本棚に追加
弘人が忙しいから会えなくても、仕事が終わると家に直帰していた。
家から弘人の家までタクシーで行く。
朝まで弘人の帰りを待つ。
『寝てていいのに』
そんな何気ない一言すら喧嘩の種になった。
そんな日々が続く。
疲れているのはわかってた。休みもなく働いている弘人に構ってほしくて、起こして、だだをこねる。しまいには泣く。うざがられる。
こんな悪循環にあたしも弘人も疲れて会うことも連絡すら、なくなっていた。
こんな自分は嫌だった。男に振り回され、何も手に着かないような自分が格好悪く感じた。
また早く仕事モードの強かった自分に切り替えて働かなきゃ。
そう決意して、毎日バリバリ働く。毎日大好きな服や靴をガンガンを買う。
弘人とはこのままフェードアウトでもいいと思った。
最近弘人とどうなのー
うまくやってる?
まわりの対応には『うん。うまくいってるよー』で、済ます。
うまくなんていってない。うまくいくわけない。
会ってないんだから。
不安や寂しさは越えていた。そんなかわいらしい乙女チック~なものはあたしには必要ない。
強くてたくましいあたしになる。
もう振り回されない。
そう決めていた。
だってあたしは弱い自分が嫌い。
誰かがいなきゃ何も手に着かないやる気が起きない。そんな女にはなりたくない。
意地っ張りの可愛いげがない生意気な女だけど、あたしなりのプライドだった。
最初のコメントを投稿しよう!