第三章

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弘人が忙しいから会えなくても、仕事が終わると家に直帰していた。 家から弘人の家までタクシーで行く。 朝まで弘人の帰りを待つ。 『寝てていいのに』 そんな何気ない一言すら喧嘩の種になった。 そんな日々が続く。 疲れているのはわかってた。休みもなく働いている弘人に構ってほしくて、起こして、だだをこねる。しまいには泣く。うざがられる。 こんな悪循環にあたしも弘人も疲れて会うことも連絡すら、なくなっていた。 こんな自分は嫌だった。男に振り回され、何も手に着かないような自分が格好悪く感じた。 また早く仕事モードの強かった自分に切り替えて働かなきゃ。 そう決意して、毎日バリバリ働く。毎日大好きな服や靴をガンガンを買う。 弘人とはこのままフェードアウトでもいいと思った。 最近弘人とどうなのー うまくやってる? まわりの対応には『うん。うまくいってるよー』で、済ます。 うまくなんていってない。うまくいくわけない。 会ってないんだから。 不安や寂しさは越えていた。そんなかわいらしい乙女チック~なものはあたしには必要ない。 強くてたくましいあたしになる。 もう振り回されない。 そう決めていた。 だってあたしは弱い自分が嫌い。 誰かがいなきゃ何も手に着かないやる気が起きない。そんな女にはなりたくない。 意地っ張りの可愛いげがない生意気な女だけど、あたしなりのプライドだった。
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