第三章

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検診の日、母が一緒に産婦人科に行くと言う。 きっと中絶のことを聞くためだった。 どちらにしろ、説得するにはあたしは都合がよかった。 なんだらかんだか手術はどーのこーので、デキ婚の離婚率はなんだのって母親が先生と話してるとき エコーを見せてくださいとあたしは頼んだ。母はあたしは見ないわよって顔をしている。 あたしは、この子はこの間にどのくらい大きくなったんだろうって見たかった。 こないだまで小さな点だったのに、今は形になっていて、動いて見せてくれた。 ママ!って言われた気がして、また涙がとまらない。 きっとあたしはこの子を産むために命を授かって生まれたんだよ。 お母さんだってそうだったよね? 17歳の母。 30歳の母。 一体何が違う? 歳?経験?遊び終えた終えない? そんなものと命を天秤にかけて、自分を正当化するなんて生き方は、あたしはしない。 そんな考え方で30歳になったところで変わるのか? そんなわけない。 あたしはまだ未熟で世間知らずで頭も悪いかもしれない。 でも、1番大事なことを知ってるから。大丈夫だよ。 あたしはこの子を殺してしまったら自分の中身も死んでしまう。 それからの人生はいらない。 母は泣いていた。 なんであんたはいつもそうなのよ… って泣いた。 お母さんあたし頑張るからねってあたしは笑顔で約束した。 だってきっとこの子があたしを守ってくれる。 ここまで、あたしを強くしてくれたんだから。 もっとあたしは強くなれる。
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