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弘人の誕生日に、久しぶりに会った。なんだか毒が抜け落ちた感じがした。
なんでかわからないけど、今日なら伝わるって感じた。
何て言ったら伝わるの何て話せば…と、考えて黙り込んでいたら
『さわってもいい?』
彼は初めてまだペタンコのお腹を触って話しかけた。
『大きくなんだぞ』
愛おしそうに撫でながら、優しく強いいつもの目だった。久しぶりにこの目を見た。
涙が溢れた。
これは現実だよね?
あの時のことは一生忘れない。忘れられない。
どんなにどんなに嬉しかったか。
何度も何度も諦めかけた想い。
もうちぎれそうだったあたしたちの絆。
言葉にならない気持ちが、溢れて止まらないよ。
あたしは間違っちゃいなかったんだ。
この子がまたあたしたちを近づけてくれた。
『約束したでしょ?絶対離さないって。どんなにあんたが逃げてもあたしたちはずっと一緒なんだよ。』
って言うあたしに
『おまえ、ばっかじゃねーの』
ってたくさん笑った。
あの頃と同じ笑顔で。同じ眼差しで、優しくあたしを見る。
『結婚しよう』って言った。
きっと、こんな風に人は絆を作っていくんだと思った。
こんな風に家族を作って、お母さんになって、おばさんになって、いつかおばあちゃんになるんだ。
今まで何人も好きな人がいた。
でも、信じることを、信じてもらえることを、諦めなかったのは初めて。
頑張ろうって思ったのも、守ってあげたいと思ったのも、信じてほしいと思ったのも、許し合えるのも、弘人だけだったから。
もうすぐ、お腹のこの子は三ヶ月。
赤ちゃん、次の検診にはパパと行こうね。
また動いてみせてね。
あたしを選んでここにきてくれて本当にありがとう。
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