第四章

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そのたびに、みんながお腹を撫でてくれた。 この子があたしの元に来てくれてから、弘人も、友達も、家族も、みんなが笑顔になった。 それを1番見ているあたしが1番笑顔だった。 命って素晴らしいね。赤ちゃんって素晴らしいね。って弘人と話していた。 今までの毎日を満たしてくれていた[携帯・金・服・靴・酒・煙草]がなくても毎日が幸せだった。 目にうつるもの全てが変わった。いつもの道や、いつもの空も、山も、海も、全部が変わった。 あたしの目を通してこの子に見せてるみたいに感じていた。 胎教にいいからたくさん音楽を聞かせたりした。パパの声を今から聞かせておいて、立ち会い出産のとき、呼んでもらわなきゃね!とか。 だから自分も変わっていったんだ。 まだ出てもいないお腹をなでながら河原を散歩したり、やさしい時間が本当に大切だった。 今も、あの穏やかであたたかい時間が本当に眩しくうつる。 胸がいっぱいになる。 幸せだった。
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