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「その髪、スッゲー良いじゃん」
変わらない道順。変わらない匂い。変わらない感覚。
何一つ変わらない筈だと思った私に新たな光が差し込んだ。
聴いた覚えのある声、だけど知らない足取りと匂い。
「…格好いいだろ?気に入ってんだよ。この髪」
馴れ馴れしい男は嫌いじゃない。それにコイツはそんな感じの男じゃない。
何故だがスゴく安心出来る。
「ああ、赤好きな俺には惚れ惚れするぜ」
「あたしも赤が好きだぞ」
「へえ…通りで、なあアンタ?俺様AKAITO様のマスターになる気はねぇ?」
「…あたしの為に歌ってくれんのか?」
「イエス.マイ・ロード」
“歌。”
何時だっただろうか?聴く事さえも忘れて毎日過ぎ去る時間だけを望んでいた。
それがまた聴けるなんてな、
……神様?
そんなモン信じねぇよ。
だが、巡り合わせのこの世界に感謝はしてやる。
「AKAITOか、一つだけ言っておく。あたしは目が見えないんだ。」
ロマンチックの欠片も無い
あたし達の出逢い。
「それがどーした。アカネに目が見えなけりゃ声で歌う。耳が聴こえなけりゃ身体で歌う。見えなくても聴こえなくても、俺の全てを使って歌ってやるぜ」
「さり気なくエロいっつーの」
抱えきれない歌を聴かせてくれ。
あたしだけに、歌ってくれよ。
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