1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「おはよー」
「Guten Molgen」
テーブルが無い椅子だけのリビングに入ると、いきなりドイツ語で挨拶された。しかし、気にせず一番手前の背もたれの無い椅子に腰掛けるが、椅子が予想以上に低くて転びそうになる。見ると、椅子の高さは足首から膝までの半分しかない。
「Here you are」
しかし、まあ気にせずに出された朝食を口に頬張る。
こりこりとした食感。硬めの表面を奥歯で潰すと、バターの風味と共にドロリとした癖のある液体が口の中に広がる。
うん。なかなか美味いじゃないか。何かの幼虫らしいが、そんなことは知ったこっちゃない。腹に入ればあとは糞になって出てくるだけだ。
十匹程食べると腹が膨れてきた。こんなもので満腹になるかと思えば、どうしてどうして、結構食いごたえがあるじゃないか。
「もういいや。ごちそうさま」
食器がわりのでかい葉を手渡すと、残っている虫を水槽に放り込んだ。水の中で何やらバシャバシャと蠢くモノが餌を奪いあっている。
あれは犬だろうか? それともカラス?
あんまりモノが暴れるので水槽の水は、あるのか無いのかも分からない床へと文字どおり吸い込まれていく。
少し気になるけど、うん、まあいいか。
僕はいつも通り、Dr.ペッパーを一気飲みすると、例の水槽でガシャガシャと食器を洗っている何かに吹き出した。
「行ってきます」
やはり、炭酸は一気飲みするもんじゃない。
最初のコメントを投稿しよう!