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デート
今日は付き合え
言ってみたものの
俺は制服…どこに行けるわけもない。
「あのー私今からバイトなんだけど…」
がーん……
『今日ぐらいいいだろ?な?』
「まぁー仕方ないかぁ…話かけたのあたしやしねっ」
彼女は嬉しそうに笑顔で頷いた。
バスは二人を乗せ
ゴトゴトと
駅前の終点に着いた。
「最後まできちゃったけどどうすんの?」
『あー俺制服マズいからここらじゃゆっくり出来んけん俺ん家かお前ん家いかねえ?』
「あんたの部屋ばり汚そうやけん、じゃーあたしん家いこ」
初めて女の子の部屋に入る…心臓はバクバク
久しぶりに会った冴えないヤツが綺麗になって現れた。
俺は気付くとトキメいていた…。
来た道を引き返すバスに二人で乗り込む。
学校の前を通ると遅刻しそうな学生が急いで校舎に入っていく。
『あー俺も今なら間に合うな…』とか言うと
藤田はリスのように口を膨らませふてくされていた。
『冗談だよっバスん中寒いな』
余りにも藤田のしぐさが可愛くて直視出来ず、
話題を変えようと遠くをみながら話をはぐらかした。
『寒いな…』
スカスカの車内は暖房も効かず
真っ白な吐息が出てた。
結露の出てる窓ガラスに指で落書きしてみる。
窓側に座った人間の特権だ!といわんばかりに
自分の名前を書いてみる。
「あたしも書くぅ」
『ダメだ俺のキャンパスを汚すなwあっちで書けよ』
「ずるいー」
そんなくだらない事を言い合いながら
藤田のガラスに伸ばした人差し指を俺が掴んだ。
『お前手ぇ冷たいなw』
「がさついてるやろ?もう手荒れがばりひどいとって」
あー働くってこんな感じなのかな?大変だな?と思い、
かばんの中から手袋を取り出した。
その間、
藤田は俺の名前の下に自分の名前を書きハートで包む
「ふふっ…カップルみたい😃」
『馬鹿お前やめろw』
嬉しかったが恥ずかしさの余り両手で結露を拭った。
「もぉー…」
笑みを浮かべながら藤田はふてくされた表情。
『お前手ぇひどくなるぞ?ほれ』
俺は取り出した手袋を藤田に顔を見られないような渡した。
恋してる気持ちが顔に出てしまう…悟られないように外に目をやった。
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