序幕

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 期待。それは羨望。  ◆  ◆  小さい頃ってのは、誰だってヒーローだったりサンタだったり宇宙人や火星人を信じてるもんだ。と、俺は考える。  ヒーローに絞って考えてみてもほぼ十全な確率で、  悪役が出現して悪さをする。  そしたらヒーローが登場して、苦戦しても最後には悪役を撃退。  すると、みんなが幸せになってエンディング。  こんな流れが必ずと言っていいほど成り立つ。  だがそんなのは画面の中だけでしかないんだ。  現実ではそう上手くいかない。  ましてや、ヒーローなんて来るわけが無い。  もしも危機的状況に陥ることがあったら、最後は自分の力で何とかしなければならない。  他力本願って思想は夢物語。  だから自力や地力って言葉が存在する。  つまり何が言いたいかというと━━  俺だってその一人だった。ということである。  どんなに騒いでも、所詮は一片の物語。  夢物語に似た儚い喜劇。  この世界にはまるで関係がない、そんな一つの物語。
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