現実を見る遠い目

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私は比較的可愛いわけではなかった。 でも、小学校の時、彼氏のようなやつがいた。 私はそいつから、顔写真付きの柔道教室のカードと、流行りだったカードゲームのレアカードを二枚貰った。合計で三枚。 自分から貰ったわけじゃなく、所謂『俺の形見』という意味でのものだった。 柔道教室のカードは、そいつと関係の無くなった今でも後生大事にもってはいるが、なかなか見られたら恥ずかしいものでもあり、少し困惑状態だ。 告白したのか?それともされたのか…?全くもって覚えていない。 ただ、中学生になって色々な出来事のあった私は、そいつの事を気にしている場合ではなかった。 そのせいか、私たちは『自然消滅』という忌まわしい言葉の通りの結果となってしまった。 それ以来、男にも興味を持たなかったし、素っ気なくして、近寄らせもしなかった。 いつの間に、時間は流れていくのか…。と思いつつも、私は現実に背を向け続けていた。 その度に私の瞳は濁っていった…。 その現実は、視界の狭かったあの頃の私にとって、空ほどに高く遠いもののように思えていた。 こんな曖昧なまま、私は宛てもなく、目的もなく、高校生になってしまった。
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