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医師は話を進めた。
『首の手術をしない替わりにハローベストをつけます、そこで相談ですが…』
「あの、ハローベストってなんですか?」
『首が折れてますから、ハローベストで首と胸を固定して首の骨をつなげるんです。ハローベスト付ければ、体を起こしてもいいですよ。』
それまで、首の両端に重りを乗せられずっと天井だけを見ていた退屈な日々…頭がおかしくなりそうだ。
やっと少しは景色が見られる。
「早くハローベスト付けて欲しいです!」
医師の説明は続く…
『固定の為に頭に六ヶ所、ピンを頭蓋骨まで刺して首を曲げたりしないようにします』
よく分からないけど、何だか恐ろしそうな話である。
『そこで相談ですが、ハローベストを頭に付けるので髪を切ってもらいたいんです。3択なんですが…』
想像がつかないだけに訳がわからなすぎて、話についていけない。
『頭に傷口ができます。それで髪を切ってもらいたいんですが…一つは衛生的な丸坊主、二つ目はちょっと不衛生だけどコメカミ部分まで刈り上げる。最後が不衛生だけど今の髪型のままで行う』
ちなみに、その当時の私の髪型は胸くらいの長さ。
冗談じゃない、坊主なんて絶対嫌だ!
私は二番のコメカミまで刈り上げるを選んだ。
『じゃ明後日にでも行います、ドリルで穴を開けるときは麻酔しますからそんなに恐がらないでください。』
体は早く起こしたいけど、まさか断髪式になってしまうとは…
相変わらず、全く感覚のない体。
私は複雑だった。
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