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綺麗な夕焼けだ。
空一面が紅く染まったその光景は、美しささえ感じさせる。
もっとも今のロイスには、そう思う余裕すら無かったが。
「はあっ!」
一人の男に向かって、ロイスが木刀を振り下ろした。
ロイス・グラント。マグレブの街に住む、十八歳の青年である。
明るいオレンジ色の瞳は、活発な印象を与える。
対しているのは彼の父親である、ネフィ・グラント。
ロイスの攻撃には一歩も引かず、逆に弾き返した。そのまま刀をロイスに向け、その場にじっと構えている。
先程からこの光景が、何度か繰り返されていた。
しかし何回やっても、刀が当たるどころか、ネフィは始まってから全く動いていなかった。
間も無く、夕日の半分近くが沈もうとしている。
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