一章~薄月夜の邪念~

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「ロイス、次で最後だ」  ロイスは返事の代わりに、顔を引き締めた。  ネフィとの間にある僅かな距離から、一気に加速をつけて刀を振るう。  だが、またもネフィは軽く腕を上げただけで、攻撃を去なした。  かわされたロイスは左足を軸に回転し、続けて斜めに刀を放つ。  木刀はネフィに当たると思われた……が。 「甘い」  ネフィは造作無く刀を受け流した。 「う、わっ」  ロイスが前のめりになって、バランスを崩した。  その背中に、ネフィが木刀を叩き落とす。  木刀とはいえ、当たればさすがに痛い。  ロイスはうめき声を洩らして、地面にうつ伏せた。 「ここまでだな」  見下ろしてネフィが言う。
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