11人が本棚に入れています
本棚に追加
ロイスが、背中の痛みに耐えながら立ち上がる。
「三百二十五戦、三百二十五勝。まだまだだな、ロイス」
ネフィは楽しげに言った。
ロイスは毎日、こうして稽古と称し、勝負を挑んでいた。
発端は約半年前のロイスの一言。
「外の世界が見たい」
これまでロイスは、一度も街の外に出る事を許されなかった。
その訳をロイスは知らなかったが、それは自分を魔物等から遠ざけるためなのだろう、と思っている。
だが、ロイスにとってこの街だけの生活というのは、いい加減窮屈過ぎた。
海と接した街というのが、余計にそうさせたのかも知れない。
とにかく、その胸の内をネフィに伝えると……。
最初のコメントを投稿しよう!