TOSHIYA KEIAN

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ブブブ…と卓上に置かれた利弥の携帯が震えた。 「はい?」 『もしもし、トシ?着いたって連絡受けたから電話した。そっちはどう?』 潤からだった。利弥は広い部屋を見渡してから言う。 「寂しい……1人だと」 『寂しい?あぁ……そうかもね。で、学校だけど聖銀高校ってとこ行ってね。俺の後輩が教師やってるから』 「お父さんの後輩?」 窓からビル群を見ながら利弥が言う。 『いい人だよ。 ――っと、ごめん。トシ。もう時間だから切るよ』 「あ、お父さん……!」 『どうしたの?』 呼び止めたものの、利弥は何を言おうか迷った。 『トシ?』 「あの……頑張って」 『ありがとう、トシ』 声がして、電話が切れた。
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