TOSHIYA KEIAN

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――利弥はトイレの個室で恐喝されていた。 取り囲むのは同じクラスになってしまった、いかにもガラが悪い生徒4名だ。 「なぁ、利弥くん。財布出してくれるか?今ならまだ……痛い目みないで済むぜ?」 口調こそ穏やかに言うが、そう言った男子生徒は壁を足で強く蹴った。 利弥はびくびくしながら、否。怯えるしか出来ずにいる。 「俺さ、お前みたいな気が弱そうでオドオドした奴が大嫌いなんだよ」 また別の生徒が利弥の襟首を掴んだ。ぐいっと持ち上げ、顔と顔を近づける。利弥にとって不条理な怒りの表情が出ている。 「ご、ごめんなさい……」 「謝るなよ?ムカつくんだから!」 利弥を壁に叩きつけた。背中からぶつかって利弥は顔を歪ませる。 「悪い悪い。こいつ性格悪くてよ」 また違う生徒が言うと、利弥は自分にホースが向けられているのに気付いた。ホースから水が吐き出された。 「うわっ」 顔にホースを当てられてメガネが落ちる。それ以上に口や鼻に水が入り、利弥は苦しんだ。その様を見て4人の生徒が笑い声を上げた。
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