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利弥は床に正座し、頭を下げた。
「もう……許して下さい……お願いします……」
だが、利弥は頭を踏まれて顔を床に押し当てられた。同時に笑い声が起きた。
「あはははっ!財布出したらもう終わりにしてやるよ」
歯を食いしばりながら利弥はポケットから財布を出した。
「――うーっす!お、何してんだ?お前ら!」
その時だった。呑気な声がして4人が振り返ると、体の大きな生徒がいた。
短髪で背の高い生徒だ。ルーズに制服を着ているが、表情は明るく4人とは別の雰囲気だ。
「秋臣!?やべぇ、逃げるぞ!」
1人が言うと、4人は慌てた様子でトイレを後にした。秋臣、と呼ばれていた生徒はまだ利弥に気付いていない。
「何だ?あいつら……」
と、秋臣が個室に目をやった。びしょ濡れで、顔にアザを作り、ぐったりとしている転校生がいる。
「おい!大丈夫かよ?待ってろ、今すぐ太朗の旦那を……!」
「ダ、メ……!」
呼び止められて秋臣が目を丸くした。
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