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「ゼン!会いたかった!」
ネルは出迎えてきた青年に軽く抱きついた。
青年は30代になるかならないか程の年で優しそうな表情をしているが、今は目を丸くしていた。
「どうしたの?」
青年――ネルの伯父に当たる白鳳善――が尋ねた。
「家出してきた。パスポートと金とって、ママに一言だけ日本行くってだけ」
言いながらネルはサングラスを外した。
「家出って……兄ちゃんには何か言ったの?」
「You'll be sorryって。ウザいんだよ、あの親父は!」
不快感を露わにしてネルが言った。
「……ここ来るまでに問題起こさなかった?」
「別に。問題なんか起こさない。ただ……ちょっと絡んできた日本人をブチのめしたけど、問題ないっしょ」
言ってネルは家の中を勝手に歩き回って使われていない部屋を見つけた。
「問題あるって。全く、乱暴なんだから……」
ポリポリと頭をかいて善が呟いた。
「らんぼーって何?」
「violent」
答えて善は部屋のイスを出してネルを座らせた。
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