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「圭吾。前見てないとぶつかるよ」
「俺はそんなに間抜けじゃない」
圭吾は、視線も上げず自転車を避けて歩く。
ふいに思いついたように一純は呟いた。
「圭吾、お花見行かない?」
「はぁ?」
顔を上げた圭吾は、超笑顔な一純を見て顔をしかめた。
「一純がそーゆーコト言うとろくな理由ねーよな」
言いながら圭吾は、本を茶色のランドセルに入れる。
楽しそうに一純は笑い手にたまった花弁を投げると、サラサラと桜吹雪。
「血染めの桜のウワサを聞いたんだ」
「で?」
「その桜が咲くなる頃、桜の下で死んだ落ち武者の霊が現われるんだよ・・・見たくない?きっと矢とかささってるよ」
「興味無いけど」
「無くてもいいからよし決定!今からソッコー!」
「は?!一純勝手に決めんな!ふざけんなー!」
こうしていつも圭吾は巻き込まれるのだった。
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