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季節が紅葉豊かな秋から、寒風が吹き出した冬へと替わる頃、俺は天神の街を歩いていた。
「…だいぶ冷えてきたな。」
「もう11月だもの、寒くない方がおかしいよ。」
「なら、オーストラリアはおかしい事になるな。」
「オーストラリアは南半球だから季節が逆ーっ。日本は北半球だから寒くて当たり前なのっ。」
「まあな。」
隣を歩く恋人とそんな話をしながら、西鉄天神駅前に在る商業ビル「天神コア」へと向かう。
「今日は何か買うのか?それともいつもと同じくウィンドウショッピングか?」
「それは未だ解らないわよ。先ずは行って実物を見てみないと。」
女性は買い物が好きと言うけれど、彼女もまたその例に漏れずにいた。
かと言って浪費癖は無く、週に二、三度こうして買い物またはウィンドウショッピングに付き合わされている。
もっとも、俺がそれを嫌う理由は何も無い。
好きな子と一緒に居られるのに、何を嫌がる必要がある?
一緒に服を見て似合ってるかどうかを話し合い、アクセサリーを見ては高いとか安いとか言ったり、ブランド品を見ては何でこれが売れてるのかなとか言って笑ったり。
それだけで充分に楽しいじゃないか。
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