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「女王様……そろそろお時間です」
涙を拭う私に、気まずそうにメイドが声をかけた。いつからいたのだろう?
その事に気付かない程に、私は泣いていたのだろうか……?
「分かった」
私は、ただ静かにうなずく。
涙など……流すだけ無駄だ。
私はそう思いながら、涙を無理矢理、私の中に押し込める。そんな私を、彼女は少し悲しげに見つめて、目を伏せ
「貴女様に仕えるのも……今日が最後なのですね」
と呟いた。
「ふふ……また皮肉な事を。これからも仕えてくれるのであろう?」
私は、彼女を見つめ聞く。皮肉な質問だ。すると彼女は
「はい……ですが……私は貴女様に仕えたいのです。これからの貴女様は貴女様なのですか?」
と言葉を濁しながら聞く。その言葉が、私に重くのしかかる。
答えられない私は、ただ静かに笑い、
「さぁな。分からない」
とだけ言って、窓を見つめた。
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