赤い闇

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真後ろまで来た男は、私の肩にそっと手を置いた。 するとそこを中心に悪寒が体中を駆け巡り、冷や汗が噴き出した。 しかし……私の恐怖と言う名の好奇心は、男の姿を確認せずにはいられない。 緊張で体中がこわばっている。 必死に首だけ動かそうとするが、骨やその周りの筋肉が耳元で音をたてて軋む。 それをどうにかやりすごし、やっとの思いで振り向いた。 そこには……やはりあの男が、闇に溶けこむように佇んでいた。 やっと姿を現した蒼い月の淡い光が射しこむと、男を照らしその顔を露にした。 病的な程に白い肌。 西洋人のように影の深い顔立ち。 真っ黒の髪に、真っ黒の瞳。 鼻筋の通った高め鼻。 まるで口紅を塗っているかのような赤い唇。 華奢で長身な体は、黒い服を着ているせいで、まるで闇を纏っているかのようだ。 ……そのいで立ちは不気味なほどに妖艶で美しい。image=165409077.jpg
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